ブログ・コラム
2023.09.12
ビルトインガレージ・インナーガレージのある家の計画時に考えておくべき間取りの工夫と機能性。
- カテゴリ:
- 家 住まい 間取り プラン
質の良い設計とデザインで
人生の潤いを生み出す暮らしの空間を丁寧に。
※インナーガレージのある家外観
ガレージハウス、
ビルトインガレージのある家を
計画する事も多いのですが
外観と間取りから派生する
対策も大切・・・・・。
※インナーガレージのある家外観(夜景)
毎日の通勤や
仕事で車に乗っている方、
家族で用途を使い分けた
複数台の車を所有している方、
趣味の車やバイクを
心置きなく楽しみたい方にとって、
車はなくてはならない、
とても大切な存在です。
そのような、
車のある住まいの計画、
家族との暮らしを考える方に
おすすめしたい
家づくりの方法として「ガレージハウス」があります。
ガレージハウスとは、
建物の一部、
または1階部分にガレージ(車庫)を設けた
間取りに設計された、
住宅とガレージが一体となった
建物のことです。
ビルトインガレージ、
インナーガレージとも呼ばれます。
趣味と実益を兼ねた
ガレージハウス。
外観や間取りのデザイン、
プランニングのポイントについて。
家族と共有できる
ガレージハウス。
ビルトインガレージの採用は、
1階部分の居住スペースが
狭くなる面は否めませんが、
近隣に借りる駐車場や、
敷地内に設ける
野外の駐車スペースにはない
ガレージハウスのメリットを
家族と共有できます。
駐車場コストを吸収できるという事。
地域差はありますが
立地の状況によっては
自宅の近くで駐車場を探しても、
相場の高いエリアであったり、
見つからないことも珍しくありません。
複数台の車や
バイクを所有しているならば、
駐車場の維持コストも嵩んできます。
長期的な固定費となる
駐車場料金と
ビルトインガレージにする費用、
コスト以外に得られるメリットを比べて、
ガレージ付きの家に軍配が上がるなら、
ガレージハウスを選択する経済的、
実用的な価値があります。
天候に左右されずに
愛車にアクセスできるという事。
ガレージハウスのわかりやすいメリットは、
屋根やシャッターに
愛車が守られて保管できること
居住空間とガレージがつながっていることです。
雨風に当たらず乗車でき、
急用にも速やかに
出発できる利便性の高さは、
ガレージハウスの大きな魅力です。
真夏の炎天下で
高温になった車内に乗り込むような
ストレスからも開放されます。
また、台風などの強風で生じる
飛来物でボディにキズが付いたり、
風雨で汚れたり、
あるいは紫外線の影響で
塗装が傷むといったことからも、
建物の中に車が完全に収まった
ビルトインガレージが
愛車を守り、
長持ちさせます。
汚れが付きにくい点は、
洗車の回数が減らせるメリットにも
つながります。
子育てや介護に
ガレージハウスが役立つという事。
電車やバスなど
交通の便がよいエリアに
注文住宅を建てる場合でも、
子育て中、
あるいは介護中のご家庭には
車は欠かすことのできないものです。
買い物はもちろん、
日常的に車の乗り降りや
荷物の積み降ろしの頻度が高い
ライフスタイルの場合には、
居住空間から
短時間、短距離で
車を使える
ガレージハウスが
便利で心強いサポート役を果たします。
小さな子供たちや、
高齢となられたご家族の安全な乗り降り、
夜間や緊急時の病院や
学校への移動にも役立つ場面も多くなります。
雨の日に重い荷物を運ぶとき、
あるいはガレージ部分と
キッチンやパントリーが
近い間取りなら
食料のまとめ買いの運び込み時に、
ガレージハウスならではの
短い動線を体験し、
有用性を実感するご家族も多いようです。
ガレージ以外の用途で
コミュニケーションを図る事も可能なスペース。
車やバイクを保管できる広いスペースは、
ちょっとした
イベントにも最適な空間。
ホームパーティーや
ガレージを遊び場にしたり、
DIYを楽しんだり
家族や友人と楽しむ
コミュニケーション空間としても
活用できます。
また、広めに設計した
ビルトインガレージなら、
車やバイク以外の趣味のアイテムや、
家族とのレジャー用品の
保管にも利用できます。
ゴルフやスキー、ボード、
ロードバイクやキャンプ、
BBQや
マリンスポーツなど
アウトドア関連の道具は数も多く、
場所をとるものも少なくありません。
当初の設計時、間取り計画やプラン時に
全体像からのレイアウトを工夫して、
可能性を拡張しておくことも・・・・・。
ガレージハウスは
防犯対策としても優れています。
シャッターを閉めれば、
外から車やバイクが見えませんから、
犯罪被害リスクは
大幅に減ります。
夜間のいたずら、
盗難から愛車を守ります。
開口タイプのビルトインガレージには
防犯カメラを設置するなど、
家族や車への
セキュリティを高めておくことは重要です。
排ガスや強度、
ガレージハウスのデメリット対策では、
弱点にはどう対応すればよいか。
排気ガス、排気音への対策。
居住空間に隣接した
ビルトインガレージで気になるのは、
やはり排気ガスと排気音。
早朝や深夜に限らず、
車の出し入れの度に
音や匂いが
生活空間に影響を与えるのは
避けたいものです。
適切かつ、
効果的な換気・吸音への
配慮と対策が求められます。
ビルトインガレージの
設計や使い方次第ですが、
常に自然換気ができるような計画か、
ガレージ内に
大型の換気扇を設置して、
排気ガスが溜まらないよう
新鮮な空気に入れ換え、
循環させる必要があります。
また壁の塗装には、
排気ガスの付着による
汚れが落としやすい
外壁材や塗料を選ぶように・・・・・。
排気音、
エンジン音対策車や
バイクのエンジンなどの動作音は、
車種にもよりますが、
屋内では想像以上に響きます。
また・・・屋外では
さほど気にならない振動も
上階に伝わりやすいものです。
ビルトインガレージには、
十分な防音対策が必須なのですが
居住空間の位置関係の工夫も
音対策に有効です。
ガレージ部分の近くには
寝室やリビングを配置せず、
浴室やトイレ、
洗面など使う時間が短いところを
近くにする間取りすれば、
乗り物や作業中の音を
主要な生活空間から
遠ざけることができます。
開閉時の音が静かな
オーバースライダー型のシャッターを
採用する方法もあります。
照明を上手く美しく配置して
暗さを解決するように。
夜になるとどうしても
ガレージ内は暗くなり、
作業しづらく、
転倒の危険も生じます。
落とし物を探すのにも
手間取ってしまう事もあるかと思います。
安全性と、
愛車の映える演出、
両方兼ね備えたビルトインガレージの照明には、
全体を照らす照明と、
足元を照らす照明を
バランスよく配置して
センサー付きの自動点灯式と、
スイッチ式の照明を
適所に設置して
コンセントの位置を考慮した
動線設計など、
ビルトインガレージに必要な
美しさと機能性を
両立させる配慮がポイントです。
愛車が映える照明を、
利便性を考慮しつつ、
こだわりをもって計画するのも、
ガレージハウスの基本です。
また、ビルトインガレージに
窓を設ければ採光ができ、
日中の暗さの解消に役立ちます。
逆に暗さを上手にコントロールして
車をディスプレイしながら
防音硝子を多用して
リビングから眺める事も至福の空間に。
ビルトインガレージの空調も重要です。
家族や友人と過ごす時や、
メンテナンスや
手入れで愛車と自分だけの時間を楽しむ
趣味性の高い用途がある
ビルトインガレージには
温度管理にも気を配りたいところです。
閉め切っていたり、
開口部が広く
外気温の影響を受けやすいガレージには、
エアコンなど
冷暖房設備の設置を
検討することも視野に。
冷暖房で暑さ寒さを軽減できますが、
断熱性の高い空間ではないので
効率は良くない点、
光熱費を考慮する事も重要です。
同時に所有する車や
バイクのサイズや
台数を将来的に想定して、
余裕をもってドアの開け閉めができる幅、
車の出し入れで壁にぶつけたり、
擦ったりしないスペースを考慮した設計が必要です。
また、車のメンテナンスには
それ相応の工具も
取り揃えておかねばなりません。
駐車スペースに隣接して
工具類、その他用具を収納できる
道具箱やキャビネットを
設置する場所もプランには重要な要素。
壁面に棚を設置して、
工具やインテリア、
コレクションをおいてガレージを使いやすく、
ファクトリーの演出を行うのも
おすすめです。
壁面に鏡を設置することによって、
駐車時に
どこまで下がって良いのかを
わかりやすくする事で利便性も上がります。
デザイン上も
ガレージが広く見えて、
高級感が増します。
注文住宅を
ガレージハウスとして建てる際には、
住まいと駐車スペースを両立させるために、
暮らし方を考慮した
間取りとプランニングが必要となります。
暮らしの方向性、
将来のリフォーム等も視野に
ガレージハウス(ビルトインガレージ)を
どう楽しむか?。
暮らしの時間を有意義に考えてみませんか?
やまぐち建築設計室 建築家 山口哲央