ブログ・コラム
2025.04.24
静けさを住まいに宿すという贅沢、奈良で暮らす心地を意識する空間として人生を整える“和モダン住宅”という選択と提案。
- カテゴリ:
- 和モダン思想
暮らしの質を見直すタイミングにも
色々な時期がありますが
結婚や子育て、
子供の独立など
皆さんにとっても
様々なターニングポイントが
存在していると思います。
住まい造りは
そんな環境の変化や
生活を見直す
タイミングだったります。
余白を持った住まいの考え方として
和の精神と
現代的な快適性が融合した
和モダン住宅をテーマに、
子育てと両立できる
設計の在り方、
実家との関係性、
そして本質を求める家づくりの
あり方を、
建築家の視点から
少し書いてみたいと思います。
家を建てる
ではなく、
人生の軸を据える場所をつくる
ためのヒントを少しだけ。
〇奈良という風土に根差した
暮らしと家づくり
奈良という土地には、
京都や大阪とは異なる、
独自の静けさと
精神性が宿っています。
1300年以上の歴史と
神仏に守られた
この地域では、
自然と共に生きるという感覚が、
今なお生活の中に
息づいています。
実家に住みながら
子育てをするという暮らしは、
奈良という
風土の豊かさと
深く結びついています。
都市の喧騒を離れ、
親世代との連携で得られる
安心感は、
子育て世代にとって
何よりの資産です。
そして風土に根差した
住まいづくりには、
その地にふさわしい静けさ、
時間に耐える素材、
空間に宿る意味、
が求められます。
奈良という
地の文脈を読み解きながら、
その土地と共鳴する
暮らしの器を考えています。
〇子育て世代が求める
「静けさ」と「安心」
それぞれの暮らしの
タイミングにもよりますが、
やはり大切にしたい
日常の“静けさ”と“安心”を
何よりも求めるのは
自然な流れです。
一日を忙しく
駆け抜けたあとの帰宅が、
家族との時間を
取り戻す
祈りのような場
となるような空間。
それは、
単なる性能や装飾ではなく、
感情に寄り添う
設計から生まれます。
和を大切にしながら
それぞれの暮らしの
価値観をデザインする
和モダンの家では、
五感を満たし「落ち着く」ように
デザインを施します。
家の外だけではなくて
中に足を踏み入れる事で
生まれる感動体験。
足裏に伝わる材のぬくもり。
声が響きすぎないよう
配慮された音響設計。
家そのものが、
心をほどく装置となるように。
〇和モダン住宅とは何か?
素材・空間・思想の美学
和モダンとは、
“和風”の様式美と“モダン”の
合理性を融合させた
住宅のスタイルです。
しかし、
それを単なる見た目の
意匠とは捉えていません。
本質的には、
「引き算の美学」
「自然と共生する思想」
「暮らしの所作を美しくする導線」
これらが芯にあることこそ、
和モダンだと考えます。
採用する素材にもよりますが
塗り壁の微細な凹凸が
光を柔らかく拡散し、
風の通り道を
設計することで
冷暖房に頼りきらない
暮らしが可能になる。
土間、障子、
深い軒をはじめとする
空間要素。
それぞれが
空間に「余白」を与え、
心を静かに整えてくれます。
〇実家との共生
親世代との距離感と設計解法
30代~40代で
家を建てようとする
タイミングは、
親との関係にも
大きな意味を持ちます。
すでに両親と同居している方、
敷地内に建てる方、
あるいは数十メートル先に
新居を計画している方
関係性も距離感も
それぞれに異なります。
共通して大切なのは、
互いを尊重しながら、
心理的な境界線を設ける
という視点。
物理的には繋がっていても、
視線を遮る植栽や
アプローチの角度、
玄関の向きの工夫で、
独立した暮らしの単位が
確立されます。
また、
子育てを共有する
環境であるからこそ、
音や視線の動線において
「過干渉にならない工夫」が
不可欠です。
やまぐち建築設計室では、
そういった場合には
親世代の人生観と
現役世代のライフスタイル、
両者の視点を重ねながら
設計を行います。
〇子育てしやすい
間取りの黄金比・・・・・。
子育てにおける
間取りには、
「家事動線」
「安心感」
「視線のつながり」の
3要素が欠かせません。
しかしそれらは
マニュアル的な配置や
これをやっておけば大丈夫
という表面的な要素だけでは
実現しません。
家族構成、
子どもの年齢、
働き方、
実家との距離など
それらを全て
読み取った上で生まれる
ご家族だけの答えが
必要です。
キッチンから全体が見渡せる配置
や
ファミリースペースと
個室の緩やかな区切り
なども視野に、
ご家族の暮らし方と
無意識の価値観を
ヒアリングしたうえで
ゼロから暮らしを
組み立てていきます。
プランやイメージ図面よりも先に
「一日の過ごし方」を
描き出すことから
始めるように。
余白のある暮らしを
生むデザインと機能性。
和モダン住宅における
最大の贅沢は、
「余白」にあります。
何も置かない床の間。
季節の移ろいを感じる中庭。
読書をするだけの静かな畳間。
忙しく働く
世代でありつつ
子育て世代にこそ、
こうした“余白”が
精神の豊かさを育み出します。
また、
それは単なる“癒し”
ではありません。
整然とした空間は、
片付けやすく、
子どもが自立して
整理整頓を学びやすい
環境の設計でもあります。
美しさと
機能性が両立した空間には、
「住みやすさ」と
「誇らしさ」が同居するものです。
〇建築家の役割と
暮らしを編集するという思想。
家は単なる「建物」
ではありません。
それは、
家族の価値観や
暮らし方を空間に
翻訳した“編集物”です。
建築家の仕事の内訳も
様々ですが、
単に図面を引くことではなく、
家族の暮らしを
ヒアリングし、
形にする「編集者」としての
役割だと考えています。
住まいの空間設計では、
見た目の美しさだけでなく、
住まう人の「心の動き」や
「思考のリズム」に
調和することが
求められます。
日本建築にある“間”の概念は、
まさに暮らしの
テンポと感情の呼吸に
深く関わるものであり、
そこをどれだけ
丁寧に設計できるかが、
住まいの本質を
決定づけると考えています。
〇和モダン住宅が導く、
家族の豊かな未来。
和モダン住宅は、
見た目の美しさだけでなく、
暮らしそのものの
在り方を変える
力を持っています。
たとえば、
木の香りが朝を知らせ、
障子越しに入る
柔らかな光が
子どもの寝顔を照らす。
そんな何気ない日常こそが、
心を豊かにし、
記憶に残る家族の「時」を
つくっていきます。
また、
様々な素材に囲まれた住まいは、
その感性の土壌を育みます。
季節の移ろいに敏感になり、
子どもは「静けさ」の中にある
豊かさを覚え、
大人は仕事や社会の
喧騒から
一歩引いた“自分の居場所”を
再発見できるものです。
このような住宅空間は、
未来にわたって
ご自身なりの
大切な資産としての
価値を持ち続けます。
それは物理的な
耐久性だけでなく、
暮らしの「物語」が
宿るからです。
設計の意図や家族の想いが
空間に刻まれているからこそ、
住まいは唯一無二の
存在になっていくものです。
〇家づくりは、
人生哲学を問う行為。
どんな間取りにするか、
どんな素材を使うか、
どんな庭を望むか。
すべての問いは、
実は「どう生きたいか」
という問いに通じています。
和モダンの家は、
派手な装飾や
一時の流行ではなく、
削ぎ落とすことで現れる本質を
大切にする住まいです。
それは、
自分たちの暮らしの軸を
問い直すきっかけになり、
親世代から引き継いだ
価値観と、
子どもたちに
受け継ぎたい未来を、
ひとつの形にする
作業でもあります。
そうした「暮らしの哲学」を
丁寧にくみ取り、
空間に翻訳する設計を丁寧に。
家づくりを通じて、
家族との関係、
自分自身との向き合い方、
そして未来への想いを
再構築していくこと。
そのプロセスに
寄り添えることを、
心から願っています。
住まいとは、
生き方そのもの。
奈良で紡がれる、
静かで力強い一歩を、
ぜひご一緒に。
やまぐち建築設計室は
その家に暮らす家族の過ごし方を
デザインする設計事務所です。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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