ブログ・コラム
2023.10.18
家と車と暮らしの関係性を間取りと価値観が紐解くビルトインガレージのある家を計画、設計、デザインする際の事色々と。
- カテゴリ:
- 間取り・動線・家事・プラン
ガレージハウス考察。
暮らしや住まいを考える際に
家と車と人の関係性も
大切に考えています。
※電動シャッターを備えた完全区画したビルトンガレージを備えた家
駐車方法について。
住宅の設計をさせていただくにあたり、
ご相談や質問を経て、
ヒアリングの際に、
必ずと言っていいほど
駐車スペースについての
確認をさせていただいています。
打合せの結果、
駐車方法は大きく分けて、
下記の4つのいずれかに
属することになります。
※電動シャッターを備えた完全区画したビルトンガレージを備えた家
○ビルトインガレージ
○オープンガレージ
○屋根付き駐車スペース
○青空駐車スペース
それぞれ土地の制約やサイズ感
実際の利用形態や
価値観等について意味があるものです。
ビルトインガレージ
建物の中に駐車場を設けるケースです。
防犯のため、
シャッターを設置することが
多いのも特徴の一つです。
ビルトインガレージの利点は、
車-室内間のアクセスの際に、
外に出ることなく
行き来できる、
移動が便利な事が挙げられます。
このタイプを設計する際には、
暴風時に強風で雨水が
中に入ってくることを防ぐため、
奥から手前にかけて
傾斜をつけることが
大切なポイントの一つです。
※開放感を持たせて玄関と繋がるオープンスタイルのビルトインガレージハウス
※開放感を持たせて玄関と繋がるオープンスタイルのビルトインガレージハウス
また外部から
ガレージ内が見えるかどうか
という点については、
主にシャッターの有無や
壁のつくり方、
シャッターの仕様等で
決まります。
シャッターは
窓なし、窓あり、
パイプタイプなど、
様々な仕様を選択することができます。
小窓を設けている場合は、
日中であれば照明なしでも
ある程度の明るさを保っています。
シャッターは窓なしとして、
ガレージの別の壁面で
明かり採り窓を
設ける手法もあります。
ガレージハウスを設計する際には、
夜遅く帰ってくる
家族がいる場合、
シャッター音が気になる、
というご意見を
うかがうこともあります。
静音タイプの
シャッターもありますので、
そちらを選択するという手もありますが、
本当に音と振動が気になる方には、
やはり間取りプランの際には
距離感や防音についての工夫が
必要になります。
そして土地の状態によっても
考慮すべき点はあります。
敷地(土地)が
2つ以上の道路に面している場合、
車の出し入れは、
基本的にはメインの道路ではなく、
サブの側道からの
出入りをお勧めしています。
理由は「安全性」です。
比較的、
車や人が通らない
道路からの方が
安全に出入りできます。
皆さんもけいけんありませんか?
歩道があったり、
広い道路で車の速度が速い道路
往来が激しい道路、
そういったところから
出庫したり入庫する際に
ヒヤヒヤした経験・・・・・・。
急な飛び出しや
自転車、バイクが見えない死角。
道路の状態によっては
距離を保ったり・・・・・。
普段使い用と
コレクション用という風に、
車の目的別に
ガレージを使い分けることもできます。
表から見ると、
木製オーバースライダーシャッターの
ガレージしかないと思いきや、
実は別の道路に面して、
もう一棟ガレージを単体で
設けたりするケースも。
ガレージハウス、
ビルトインガレージの住宅設計、
よほどの都心でない限り、
駐車スペースについての話題は
ついて回ります。
あえて「ガレージハウス」と呼ぶ場合、
この用語には、
単に駐車スペースを設ける、
という物理的な要素以上に、
車やバイクなどを
大切に想う気持ちが
含まれていると考えています。
車を生活の大切な一部と捉え、
紫外線、風雨、
いたずら、
盗難などから守る、
という想い、
あるいは自慢の愛車を
かっこよく見せたい、
という想いが込められている
そんな住まい手さんの家に対する
考え方も含まれています。
場合によっては、
防音対策を施したガラスを用いて
住宅内で観賞できるようにと、
インテリアの対象にまで
車の地位が
引き上げられることもあります。
一方で、
外に出ることなく
車へアクセスできる、
という機能上の利点も
見過ごせませんが、
やはりメインは
車との関係性や
日常生活への強い想いが
前提として存在しているように感じます。
僕は間取りの計画前にでも、
住まい手さんの要望が
ガレージハウスなのか、
それとも単に
駐車スペースでよいのか
という切り分けを
ヒアリングの中から
汲み取るようにしています。
ガレージハウスへの
強い想いをお持ちである、
と受け取らせていただいた場合は、
ガレージの距離感において
車の関係ありきの
デザインにて
提案させていただくこともあります。
これからもガレージハウスの
設計依頼をいただくことも
あるかと思いますが、
住まい手さんが
有している想いの強さを
共有しながら
デザインに
反映していきたいと思います。
暮らしとどんな関係性を
大切に考えるべきか?
やまぐち建築設計室 建築家 山口哲央