ブログ・コラム
2023.11.23
身体にも触れるソファが持つ寛ぐ時間の心地良さを丁寧にデザインする意図と暮らしの充実度の設計を家具と空間の相互関係。
- カテゴリ:
- インテリア デザイン 家具
リビングなどでくつろぐ時間も
色々な心地良さの意味が存在しています。
身体にも触れるソファの持つ意味。
※家具・インテリアショールーム「Molteni & C」
勿論「視覚的」な満足度や心地良さと共に
腰を掛け寛ぐ時間の価値。
ソファの座面高と寛ぎの関係も
インテリアと暮らしの嗜好に重要な要素。
一般的にソファを選ぶ際に
気に掛けるポイントと言えば
「座り心地」「耐久性(へたりにくさ)」「デザイン」
そして「価格」といったところでしょうか?。
その中でも、
人によってその感覚が大きく異なり、
こだわりも強くなるのは「座り心地」だと思います。
「硬い座面が良い」「柔らかい座面が良い」「奥行きが広い方が良い」等、
そのこだわりはそれぞれです。
しかし、意外とソファ座面の「高さ」を
気に掛ける人はあまりいないのも事実です。
ソファに限らず「座るもの」「寝転ぶもの」といった
身体を預ける家具、
つまり「体感家具」は掛かる体圧が
どれだけ効率よく分散されるかという
体圧分散性がたいへん重要です。
例えば自身の足が床に付くか否か
といった部分は
しっかりと身体を休めるという観点では
見逃してはいけない部分なのです。
その観点から家具ショールームへのご案内では
空間のイメージと
相互関係を持ちながら「ソファの座面高と寛ぎの関係」について
深掘りする事は毎回大切だと感じています。
ソファの一般的な座面高さについて。
日本で使用する成人向けソファの
一般的な高さは380~400mm程度と言われています。
その観点で国内の家具メーカーの
ラインナップを見ると
座面の低いソファだと350~360mm程度、
高さがあっても400mmを超えるものは
比較的少ないと感じます。
反対に海外メーカーのものは、
もちろん低めの座面のものもありますが、
400mmを超えるものも多く存在し、
同時に座面の奥行きも深いソファが多い印象です。
ソファのタイプによって
座面高が変わっていることも多いという事。
その用途やタイプによっても
ソファの座面高は変わります。
例えば「ローソファ=一般的なソファに比べて座面高が低いソファ」は、
奥行きを深く取っていることも多くみられます。
低いものだと床からの座面高設定が
100mm程度と座椅子のようなものから、
300mm程度の高さのソファも存在します。
メリットとしては、
空間に圧迫感を与えず
広く見せてくれる効果がある、
あるいは子供やペットがいても
安心して使用できるといった点です。
一方で座面が低いことで
座る際・立ち上がる際に膝や腰に
負担が掛かりやすいという点や、
併用するリビングテーブルと
高さのバランスが合わない場合があることは
注意事項です。
「ベンチソファ=比較的座面高が高く奥行きが浅い」ものは
その形状からダイニング用、
つまりダイニングテーブルと
併せて用いられることが多く見られます。
ダイニングテーブルに合わせている高さの為、
比較的座面高の高いソファが多い印象です。
同時に脱着の容易性や
周囲のスペースの確保を目的として
座面の奥行きは浅くなるものが多くなっています。
詰めれば着座人数にある程度の融通が効く点、
ダイニングスペースの役割と
リビングスペースの役割双方を兼ねた場所とできるので
省スペースに貢献するといった点は、
リビングダイニングの使い方に
幅を持たせることができる意味で
有用性が高いと言えます。
同時にその座面の奥行きの浅さは
そこで寝転がって身体を休めるという意味では
物足りない場合もあるので、
導入の際には想定されるシチュエーションの
見極めが重要です。
体圧分散性は身体を休めるうえでは重要な要素。
ローソファは座面が低い分奥行きがあるものも多く、
そこでは足を伸ばしながら
座ることになります。
一方でベンチソファは
座面が高く奥行きを浅くすることで
足を立てて座るように作られています。
ここで「体圧分散性」を前提にするのであれば、
どちらにも共通して
言えることは「自身の足がしっかり地面につく必要が有る」ということです。
座面・背面のクッションといった
内部構造を含めて
ソファやチェアといった
身体を預ける家具に関しては、
どれだけ体圧分散がしっかりされているかを
考えて選ぶことが
好ましいのは間違いないかと思います。
そして、ソファにも正しい座り方が存在します。
常に正しい姿勢を意識しているのは疲れてしまうため、
あくまでソファを選ぶ際の参考として。
おしりを背面クッションの
すぐ手前まで深く腰を掛ける。
骨盤を立てて(良い姿勢になる)背もたれは使わずに座る。
背筋はそのままで
背面クッションにもたれかかる。
もたれかかった状態で、
体の力を抜く。
身体の力を抜いた状態でも
姿勢が崩れないソファは
支えがしっかりしている為、
長時間座っていても疲れにくいものとなります。
反対に力を抜いた際に、
身体が「く」の字に曲がってしまい
お腹を圧迫するようであれば、
それは身体には合っていません。
僕は普段、
家具選びの際は「家具ショールーム」へ
ご案内させていただき
同席しているので
ソファ選びの際の見極めポイントの際は
そういったところもご提案しています。
疲れにくい座姿勢
寛ぎを得る場所としての持つ意味を考えると
座面の形状や構造に
検討要素もあります。
まず「座面がフラットではなく手前から背もたれに掛けて徐々に低くなる構造」である事。
一般的な多くのソファが
フラットな座面形状となっていますが、
ソファの場合は真下に力が加わるのではなく、
様々な姿勢をとることで
あらゆる方向に体重が加わっていきます。
その為、
単にフラットな座面づくりでは
前面に向かってへたりが出てしまいやすく、
長く使用した際の見た目の劣化を
招きやすくなります。
そういったへたりを出にくくする構造を
採用しているものを考える事で
支えが必要な部分は
しっかりと支えながらも、
フワッと包まれる座り心地で
快適な時間を実現させているのです。
「腰が痛いから座面は硬い方が良い」
といった考えを持つ人は少なくありません。
硬い座面の方が絶対に良い、
のではなく「身体に合った硬さ」を
しっかりと選んだほうが良いかと思います。
そのためには、
まず試してみることです。
正しい座り方が自然とできるソファ選びを
心掛けてみて下さい。
家造り・リフォーム、
整理整頓アドバイスや
部屋の模様替え等でご依頼をいただいた際には
過ごす空間と時間に
ソフト面+ハード面の暮らしの心地を
丁寧に提案させていただきたいと思います。
ご相談・ご質問・ご依頼は
やまぐち建築設計室ホームページ
気軽にご連絡ください。
■やまぐち建築設計室■
建築家 山口哲央
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)