ブログ・コラム
2024.01.24
家造りと庭造り、注文住宅と暮らしの風景を繋がる心地良さとして半公共空間でありつつも暮らしの空間として心地よく愛でる外観であり風景である住まいの豊かな位置付に。
- カテゴリ:
- 設計の事・デザインの事
新築の注文住宅を建てるとき、
最初から造園までを
きちんと視野に入れて考える方は、
そう多くありません。
※和モダンの家外観正面
しかし、
四季を感じられる庭は、
暮らしにスパイスを与えてくれる、
家と暮らしには
欠かせない大切な要素です。
※和モダンの家外部軒下延長空間
※和モダンの家中庭全景
ということで、
庭についての基本的な考え方や、
豊かな庭づくりの
ポイントなどを少し。
造園とは、
庭をつくることを指します。
※リビングに繋がるウッドデッキと風景を愉しむ庭
外構やエクステリアと
呼ぶ事もあります。
ただ植物を植えるだけでなく、
庭の空間を
つくりあげることを意味します。
家を建てるときには、
建築基準法という
法律をまずは基本にして
設計しますが、
庭づくりにおいては
それらが関係する場合もありますし
法律的な意味合いも含み
検討する事項も
多くなります。
場合によっては
各市町村条例や
地域のルール等も存在します。
そこで、家もそうですが
造園にもある意味では
「半公共」という意識を
もっておくことも大切です。
まずは自分たちも
近所の人たちにとっても
心地よい庭をつくる、
という気持ちが
根底には必要かと思います。
手入れができる
キャパシティを超えない庭づくり。
美しい庭をキープするには
草刈りや水やり
時には整地等の
メンテナンスが必須です。
だからこそ、
メンテナンスが可能な範囲の
庭づくりが
前提になります。
とはいえ、
植栽がゼロではさみしいので、
ポイントは
ちょっとがんばれば
メンテナンスができる庭という
考え方も大事かと思います。
荒れ果ててしまっては
半公共という意味では
NGですし、
逆に後々の手入れが
大変になってしまいます。
ですので、
自分たちの手でも
日常的な範囲で
ある程度は
メンテナンスできるような
庭をと思います。
家づくりの一部としての
庭づくりとは?。
新築の家を建てるとなった際、
間取りや家事動線、
機能性、
デザインに
意識が向きがちですが、
どういう暮らしを
していきたいかと考えれば、
庭づくりも同じくらい大切です。
家の窓から
こういう植栽が見えると良い。
※庭を眺める窓を二面に配置したバスルーム(浴室)
※和室と繋がる広縁・縁側から中庭の風景を愛でる
家に帰ってくるときに、
玄関までの間に
季節の香りを感じられる。
例えば
金木犀があると良いなど、
イメージして
庭づくりを想う事も
良いかと思います。
例えば、
梅の木を植えたら
実がなります。
その梅を梅干しにしたり、
梅シロップにしたり
することができます。
これらを僕は「時をためる」
という考え方をしていますが、
庭の梅の木が
季節を感じさせ
暮らしに豊かさをもたらし、
彩りを添えてくれます。
家づくりの一部として
庭づくりをすると、
その後の暮らしに
思いもよらぬ
喜びを与えてくれる事が
あります。
思いもよらぬ喜びは、
自然だからこそなせる
業と言っても
過言ではありません。
庭がもたらす
「良い事柄」の価値。
自然は思わぬ喜びを
与えてくれるという事。
植栽は、
ある程度は木の種類によって
どこにどれを植えると
育ちやすいのかは
決まりますが、
すべてをコントロール
できるわけではありません。
だからこそ、
予想以上につぼみがついて
花が咲き乱れたり、
季節によって
鳥が集まってきたり、
自然はすべてを
計算できないゆえに
思いもよらぬ喜びが
やってくることがあります。
それに、
家の中から窓を通じて
緑が見えたり、
外から帰ってくるときに
草木があったりして、
ふと自然を
眺められる暮らしは
心に余裕が出てくる。
ある意味では
コントロール出来ない
からこそ派生する
「良い事」も楽しむ事が出来ます。
植物を育てるのが
苦手な人でも
庭づくりは可能なのか?。
植物は好きだけれど、
育てることに
苦手意識をもっている人も
少なくありません。
おそらく
これまでの暮らしに
緑が身近になかったことで
苦手意識を
もたれている場合と
その逆に
緑がある事で
苦労した経験により
苦手になっているケースも
あると思います。
身近に植物がある環境が
どのような状態なのかを
良い意味で
考えることが出来るような
プランも
大切だと思います。
勿論、
少しの頑張りで
メンテナンスができる範囲
ということが
ポイントにはなりますが、
人は自然と
つながっていたいと
本能的に感じているのかも
知れません。
成功する造園、
失敗する造園の違いや、
良い庭づくりを
行うには・・・。
庭づくりに関して
気になるのは
よくも悪くも、
虫は来るという事。
ただ、
異常発生的に
虫がつくのは
植物が弱っているのが
原因であることが
多くあります。
その場合は
植物を
元気にしてあげるように
手入れをすれば
解決する事もあります。
住宅地には不向きの植物
というのはあります。
例えば、
どんぐりの木。
とても成長が早いので
住宅地では
手入れが難しいことや、
台風などで枝が折れたり、
倒れたりして
お隣の家にも
迷惑がかかる可能性が
あるためおすすめしません。
敷地の状況によっては
変わりますよ。
また、
素敵な庭に
仕上げるためには
原風景に
近いものを再現しましょう。
というのも、
敷地は人間が
勝手に引いた線ですので、
草木にやってくる
虫や鳥には関係がありません。
だからこそ、
周囲の自然と
住宅地のつながりを尊重して
植栽をすると
良い効果も生まれやすくなります。
例えば、
遠くに桜の木があって、
家の庭にも
桜の木があるとすると、
窓から見渡したときに
遠近感が生まれる。
そうすると
狭い敷地だったとしても
広く見える
効果がありますし、
庭にも立体感が出てきます。
それから、
植栽も遠近感が必要なので、
お隣や少し遠くの
公園や季節を感じられる
山並み等があれば、
それをお借りして、
敷地内の庭づくりにも活かす。
借景という
考え方やデザイン方法も
優位性を持ちます。
あとは、
絵になるようにつくる窓、
ピクチャーウィンドウ
という手法を
使うのも
家のデザインや
暮らしの価値観によっては
秘策です。
※特注の扇型窓から中庭の風景を愛でる・ピクチャーウインドウ
土地の良いところは
取り込んで、
あまり日常的に
目にしたくないところは
きちんとシャットアウトし、
その場の力を
最大限に活用したり、
土地の魅力を
発見したりする造園、
庭造りが
窓越しに気持ちの良い
庭の鍵となります。
住い手さんにとって
豊かな庭をつくるには
まずは、
好きな花、
好きな木、
苦手な花、
嫌いな植物の
香りなどについて、
家族で話し合う事。
金木犀の香りひとつとっても
好きな人と
そうでない人がいますよね。
ですので、
まずは家族で話し合って、
その内容を
設計者・建築家に伝えます。
そうすると
設計者・建築家が
ご家族の要望を
取りまとめて
造園の計画を立ててくれます。
勿論、
造園業者に
直接依頼する事も
あるのかもしれませんが、
家と庭という関係性を
どのように大切に考えるのか?
差は出ます。
造園家さんが
近くで居れば
いちばん良いですが・・・・・。
話しがそれましたが、
できることと
できないことがありますが、
好みを伝えるのは
大事です。
庭ができてからは
毎日、
植物を見てあげることが
豊かな庭づくりのコツ。
管理するという
意味ではなく、
毎日愛でていることで
小さな気づきや
発見があって
求めずとも
豊かさを感じられるように
なってくるはずです。
もちろん感じ方は
人によって異なるものですが、
それを家族で話したり、
共有したりすることで
暮らしの余白を
楽しむための
庭になってくれると思います。
植物と縁がなかった人でも、
庭を見る、
眺めるから、
いつしか「愛でる」に
なっていくのも
自然の面白さでもあります。
家の前の広い庭と、
L字やコの字の家の中庭、
植栽の手法はどう違うのか?。
L字やコの字の家は、
家の2方向から見えたり、
3方向から見えたりします。
中庭の場合も
取り方によっては
そのようになります。
かたや広い庭は
家のなかの
一方しか見えません。
植物の葉は
太陽が出てくる方を向くので、
まずは植物が
美しく見える
見え方には気をつける事。
植える敷地は
ある意味器ですので、
そこにどういう風に
植えるかというのが
基本になります。
大きい器と、
小さい器では、
生える植栽の高さも違いますし、
遠近感という意味での
演出・見え方も異なります。
広い庭では
土地に高低差をつけて、
庭が立体的に
見えるようにするのも
おすすめです。
洋風でモダンな庭と
和風で考える庭での差も
色々と存在します。
家から見える庭の
一番遠い部分を
少し小高く
丘のように設計すると、
地面に高さが出る分、
見える緑の量が増え、
平坦だと
見える緑の量が減ります。
そういった工夫で
見え方を変えるのも
庭づくりのひとつです。
ひとくちに
庭といっても
家のまわりの環境や、
住まい手さんが
理想とする
ライフスタイルや
家そのものの考え方によって
ベストな庭づくりも
大きく違ってきます。
先ずは家族で話し合って、
家と庭で暮らし方を
イメージする。
ぜひあなたの暮らしを彩る、
素敵な庭が
家と暮らしと繋がるように。
住まいのリフォーム・リノベーション
模様替えや増改築について
ご相談・ご質問・ご依頼は
■やまぐち建築設計室■
気軽にご連絡ください。
-------------------------------------
■やまぐち建築設計室■
建築家 山口哲央
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
-------------------------------------C