ブログ・コラム
2025.03.24
引き戸のある暮らし空間を美しくつなぐ現代住宅における建築美と機能性のベストバランス、過ごし方と空間をデザインする扉と間取りの関係性を丁寧に設計する意識的な空間提案。
- カテゴリ:
- 間取り・動線・家事・プラン
住まいの計画の際に
間取りと共に考える
出入口の扉についていろいろと。
※障子をモチーフにした格子の引き戸でナチュラル和モダンな空間を提案
大きく分類して
開き戸と引き戸がありますが
出入りの事を考えて
引き戸のご提案を
させていただく事も多くあります。
※和を意識しつつ障子をモダンにアレンジした引き戸で空間を仕切る提案事例
住まいの扉は、
空間の印象を大きく左右する
要素の一つ。
※和をモチーフにしつつアーバンスタイルを取り入れて提案した空間を仕切る構成デザイン
なかでも引き戸は、
日本家屋の歴史のなかで
培われた伝統と機能性を兼ね備え、
大きな利点は、
開閉時にデッドスペースが
ほとんど生じない点。
※襖のイメージをモダンにアーバンスタイルのホテルライクをモチーフに提案
開き戸の場合、
扉を手前や奥へ動かすための
空きが必要となり、
その部分に
家具や小物を置くと
通行の妨げになります。
弊方のアトリエに
お越しいただいた際には
そういう部分も「体験」を
していただく事で
状況をご提案するケースもあります。
車いすを利用する際にも、
開き戸は
動線が狭まりがちです。
その点、
引き戸なら
扉が横に滑るような
可動域となりますから、
開閉に要するスペースを
意識せずに済み、
部屋移動の動線も動作も
全体をより広く使えます。
さらに引き戸は、
換気や通風、
荷物の搬入など
用途に応じて少しだけ開けたり、
全開にしたりと
柔軟に調整できるのも特長です。
夏場は風を上手に通し、
大型の家具を運ぶ場合には
引き戸をめいっぱい
開放すれば、
室内外をスムーズにつなげます。
ただし床にレールを
設けるタイプの引き戸は、
戸を引く際の音が
就寝時に気になることや、
レールにほこりが
溜まりやすいといった
注意点があります。
天井にレールを埋め込む
「吊り戸」にすれば
床がフラットとなり、
掃除が容易なうえ
開閉音も軽減可能です。
ただし気密性はやや低下し、
防音や断熱を
重視したい場所では
注意を要します。
建具(扉)の選定では、
デザインや
素材の検討も大切・・・・・。
和の趣を深めるなら、
木の温かみだったり
格子、障子を活かしたような
引き戸が似合います。
モダンな住まいには、
ガラスやアルミのフレームを
採用すれば、
空間を洗練された印象に
仕立てることで
全体のバランスもよくなります。
仕上げ材の種類や
色柄は豊富ですので、
周囲のインテリアと
調和させながら
個性を表現することも可能です。
一方、
引き戸は開き戸よりも
密閉性が劣る場合があります。
冬場の隙間風や
音漏れが気になるなら、
戸先にパッキンを入れる、
二重引き戸を用いるなどの
対策を講じることが
有効です・・・・・・。
断熱や防音の
性能を高めたいときには、
金物や工法を
検討するように。
さらに、
バリアフリーや
動線計画との連動も。
家庭用の車いすを
スムーズに通したいなら、
レールをなくしたり
広めの有効開口を
確保したりといった
配慮が必要です。
総じて引き戸には、
空間を有効活用できる一方で、
気密性や防音性が
課題となり得る
要素があるといえます。
だからこそ、
住まいの断熱性能、
掃除の手間、
ご家族の暮らし方、
そしてインテリアの方向性などを
総合的に判断して、
間取りと暮らしに最適な
扉の開閉方法とデザインを
選択する事が重要となります。
吊り戸、床レール式、
パッキン付きなど、
組み合わせは
多岐にわたりますので、
状況を判断して
それぞれの暮らしに応じた
最適解を見つけることが出来るように。
引き戸がもたらす
開放感や穏やかな情緒は、
日本の住まいに深く根づいた
魅力でありながら、
現代の住宅でも
多彩な表情を生み出せます。
広々とした
一体感を楽しみたいときには
引き戸や引き違い戸、
引き込み戸を開放し、
落ち着きが欲しいときには
戸を閉めてしっかり仕切る。
和室の障子や襖のある暮らし。
この柔軟性こそが、
引き戸で生み出すことが出来る
大きな魅力といえます。
ただし、
どのような扉であれ、
住まい全体のコンセプトや
ライフスタイルに合わなければ
本来の価値を発揮しません。
それぞれのご家庭での
環境の違いで、
安全性や掃除のしやすさを
重視する必要がありますし、
楽器を演奏したり
映画や音楽を
存分に楽しみたい部屋などでは
換気扇や窓、壁、天井から床も含めた
防音性能が不可欠です。
素材や仕様をひとつ変えるだけでも、
快適性や意匠性は
大きく変化します。
引き戸の魅力を
最大限に引き出すには、
こうした細部への配慮が
鍵となります。
最終的には、
扉が担う役割を
丁寧に見極めることが大切です。
部屋同士を柔らかくつなぎ、
日常の動線をストレスなく
導く引き戸は、
暮らしの質を大きく向上させます。
とはいえ、
気密性や断熱性を
重要視する空間や、
音漏れを避けたい場面では、
開き戸との使い分けも
必要となります。
こうした判断を経てこそ、
住まいの個性や居心地が高められ、
長く愛される住空間へと
昇華されていきます。
建築家としては、
これらの要素を総合的に検討しながら、
皆様の理想を形にする
お手伝いをいたしたく思います。
引き戸の奥深さを
味わいながら、
より豊かな暮らしを
考えてみませんか。
こうした検討を重ねてこそ、
住まいの隅々にまで
意匠と機能を使い勝手を
行き届かせることができます。
戸のレールひとつ、
素材の選択ひとつで、
日常の快適性や掃除の手間、
さらには室内環境までが
大きく変わるものです。
ライフスタイルの
移り変わりを踏まえ、
将来的なリフォームや
増改築にも
柔軟に対応できる選択も、
長い目で見たときの
真の豊かさを育むのではないでしょうか。
建築家として申し上げるならば、
扉とは単なる
開閉の手段ではなく、
空間を演出し、
暮らしを導く大切な要素です。
引き戸の特長を
十分に活かすには、
素材や金物の選択はもちろん、
家族構成や
日々の習慣といった
細やかな点まで
見つめることが肝要です。
そういう視点で
住まいも暮らしも
より一層豊かに・・・・・。
やまぐち建築設計室は
その家に暮らす家族の過ごし方を
デザインする設計事務所です。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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